土曜日は横浜レゲエ祭に行ってきた。
メンバーはチチクリボンバーズ一族、ECK、トマトカップル、おぬきたっちゃんである。
チチクリボンバーズからレゲエ祭の話を持ちかけられたのが、多分二〜三ヶ月前で、俺はその時、どうせ九月ごろには仕事もボチボチ決まるだろうと思っていたので、行くよ行くよ〜と返事をしてチケットを取ってもらったが今も無職である。
つまり親に金を借りて昼間から酒をノミノミ腰をフリフリなイベントに顔を出したわけである。
ピース。
当日の朝の九時ごろにチチクリボンバーズの一族が俺を迎えに来た。
チチクリボンバーズはこの日のために、フレームがマリファナの形をしたサングラスを仕込んでいた。
車の中はジャパレゲが鳴り響いていた。
ガチャピンは髪の毛にラスタカラーの付け毛を編み込んでいた。
ノリノリだった。「これはついに一族から逮捕者が出るな」と俺は思った。
ROCKSの前のパーキングに車を止めて向かう先は駅ではなくAMPMである。
そこで一族は酒を買った。どうやら会場まで待たず電車のボックス席で酒を飲む気らしかった。
土曜日の朝だし、電車は満員だろうから、ボックス席に座れるとは到底思えなかったが、一族がニコニコしながらつまみと酒をカゴに放り込んでいくので、これはとても止めることはできないと感じ、俺も酒を一本買ってもらった。
トマト夫婦とたっちゃんと合流して電車を待っていると、もう我慢できなくなったのか、酒乱拳達が電車が来る前にプシュプシュと缶を開けだした。
25歳の若者が朝の駅で缶ビールを飲んで酒臭い息をさせているというのはなかなか見られるものではない。
完全にチチクリボンバーズ一族筆頭のノリである。
電車は予想通り満員だった。
彼らは途中で座れるようになるまで、揺れる満員電車の中で、ほとんど立ったまま酒を飲んだ。
25歳の若者が満員電車の中で酒臭い息を吐きながら「どこか座れないかなぁ」などと話し合っているのはなかなか見られるものではない。
トマト君は「ここでは飲みたくない」と俺に言った。俺もそれはそうだと思った。
途中でチチクリ一族の友達の若い姉ちゃん達も電車に乗り込んできて、いよいよ横浜に着いた。
横浜は恐ろしい街である。
電車から出ると駅はクサの臭いが充満していた。
駅前はすでに赤と緑と黄色の人々に支配されていた。
ラスタカラーは当たり前、上半身水着の姉ちゃんや、ボンボクラな目つきの兄ちゃんが普通に歩いている。
みんな本気のラスタファリアンである。ガンジャヘッドである。ヤーマン。
「この人たち普段はみんなちゃんと働いているのかなあ」などと無意味なことを考えたりした。
関内の駅前にヨロヨロとECKがやってきた。彼もまたすでに酔っていたが、この日は普通に見えた。
横浜は恐ろしい街である。ヤーマン。
スタジアムは混んでいた。会場の外にはバビロンが見張りに立っていた。
会場の中にはいかつい黒人のセキュリティが一杯いた。
もちろん露出度高めの巨乳ギャルも一杯いた。
開場の二時間前についたのにもう行列ができている。
飯を食ってダラダラして一時間並んでチケットを交換してもらう。
チケットの都合で、俺とトマト夫婦とたっちゃんは一族たちとは違う席である。
一族は最前線A席で戦うのだが、俺の席はB2ブロック、ちょっと後ろである。
スタジアムはハマカゼがふいて、太陽は暑いが風が涼しい。
午後三時、野外イベントにはベストコンディションである。
酒は四時まで売らないので、なんだかシラフで見ていると、でかいメガネのおっさんがステージに出てきて注意事項を喋っていた。
そのあと、今日の一発目のアーティスト!!
ということでなんかよく知らない人が出てきた。
よく知らない人がよく知らない曲でよく知らないノリかた(曲の盛り上がるところでピョンピョンはねる)で客をアオると、客達はウチワやガンフィンガーを上にあげてピョンピョンと跳んだ。
俺も半分シラフでよくわからなかったのだが、とりあえず上にウチワをあげて「うぇ〜い」と言ってみた。
自分は何か乗り遅れているような気がして隣のトマト君を見ると、「これはきつい」とドープなことを言った。
俺もきつい、と思った。
何かが…何かがマズイ、まず知っているアーティストがムーミンぐらいしかいないのである。そのムーミンも何を歌っているのかよくわからない。
後ろの兄ちゃんがたまにアーティストと一緒になって歌っているので、こいつはジャパレゲ界では有名に違いないと思って見ているのだが、全然知らない。聴いたことのある曲もかからない。
これはアルコールの力を早く借りなくては、と思いビール売り場に行こうとすると、人が長い長い行列を作っていた。
ひでえもんである。まるで社会主義国家である。みんな酒を求めていた。
トイレに行くとこちらも行列で、なぜかウンコのほうにみんな入っていき、赤い目で出て行く。
トイレ中にクサの香りが漂っていた。
ひでえもんである。まるでジャマイカのクラブである。みんなトビを求めていた。
なんとか酒を買うことができたが、それがこういうところではまあ普通だけど、ボッタクリである。
ビールが650円である。カクテルパートナーは350円。みかん氷という、うまそうなものがあったので、一緒に買った。
みかん氷は、カキ氷にみかんの缶詰めをぶっかけたものだった。
ビール売り場はスタンド席の外側にある。俺のいるブロック席は、酒の持ち込みは禁止なので、仕方がないので通路で酒を飲み飲み氷を食っていたら、セキュリティがやってきて、そこに座らないでくださいといった。
俺は少し悩んだ。俺の席はブロック席なので立ち見である。酒は持ち込めない。
スタンド席は、ステージから遠いけれど、イスがあって、しかも酒は飲める。売り場も近い。
もしかして俺のようなパンピーはスタンド席のほうが楽かもしれないと思った。
しかし酒の力で元気が出たので見ていたらなんかプシンが出てきた。これは聴いてよかった。
女性アーティストはプシン一人だったのでなおさらよかった。
シークレットゲストのハーフパイントという人も出てきた。これもよかった。
なんかよく知ってるレゲエという感じがしてよかった。
のだけれど、周りを見ると、座っている人が多かったので、なるほど、こっちノリは逆に受けがよくないのかなぁ、などと考えた。
バーリントン・リーヴィの時もよかったのだけれど、前の姉ちゃんが座っちまっていてジャマくせえな、と思った。
でも一番ジャマくせえのは水鉄砲でピュッピュピュッピュ水飛ばしている野郎で、仲間内でかけあっているうちはいいのだけれど、俺が気持ちよく踊っているところに水ふっ飛ばしてきやがってマナーが悪すぎる、音楽聴いてねえなら帰れよマザファカーな気持ちになったりした。
酒が抜けてきたところでなぜかステージでは兄弟対決が始まった。
おふくろさんが出てきたり息子が出てきたり太った人が出てきたり桂三枝がビデオレターを送ってきたりしたが何をやっているのかよくわからなかった。
よくわからないうちにアントキノ小猪木が出てきて1・2・3・ダァー!とやって仲直りさせた。兄弟は仲良くしなくてはいけないと思った。
そのあとトリのファイヤーボールとダビルというジャマイカっぽい外人が出てきた。
ダビルという人はよく知らないのだがチチクリボンバーズ長男が「ダビルマジ歌うまくね?」と終わった後に言うくらいなのでうまいのだろうと思った。
俺にはダビっているとしか思えなかった。
次はダビルッシュ有も見たくなった。
シメにマイティクラウンの人がでてきて、来てくれたみんなにマジリスペクト、今日のイベントは今年3万人来た、最初は150人のイベントだった、150人から3万人に増えたイベントは日本じゃ横浜レゲエ祭だけだ、と言っていたのは普通に感心した。えらいもんだなあと思った。
花火が上がった。結構でけえ花火だった。一族は満足していた。
帰りの電車は疲れた。帰りも満員で白岡あたりまで立ちっぱなしであった。
ECKは忘れ物をしてスタジアムまで探しにもどっていたが、見つからないようだった。女の子に切れられていた。
さすが最後まで盛り上げてくれる男だと思った。
一族は小山で降りてロックスへ飲みなおしに行った。
小山に帰ったのが午前一時近くである。ブルババブルバババービルバババイである。
俺は普通に小金井で降りてトマト君に送ってもらって寝た。楽しかったです。
以上。ジャー・ラスタファーライ。